「地域に関わりたい」と思ったとき、その手段としてまず思い浮かぶのはボランティアかもしれません。しかし、それを“ビジネス”として実現している会社があります。地域に密着した企業の魅力を発信するメディア事業を展開する、ローカルパワーエンジン株式会社です。
同社が届けるサービスの価値を、「記事を公開した後、お店の方から『記事を見たよ』というお客さんが来てくれて――」と、編集担当の佐々木さんは振り返ります。
一つの記事が地域の経済を動かす瞬間を、何度も目にしてきたといいます。
経営者として旗を振る代表の曽根田さんと、現場で街の体温を伝える編集担当の佐々木さんに、事業の原点から今、そしてこれから実現したい未来までを伺いました。
話し手 株式会社ローカルパワーエンジン 代表取締役 曽根田さん/編集担当 佐々木さん
不動産業界での原体験、偶然の出会い――それぞれが「地域」と出会うまで

現在の二人の役割は、それぞれ異なります。
曽根田さん:代表取締役でありながら自称「何でも屋」。営業から総務・経理まで幅広く担当。
佐々木さん: 地域メディアの編集担当。ライターとのやり取りから公開作業までを一貫して担当。
そんな二人が、それぞれ「地域」と関わるようになったきっかけは対照的です。
曽根田さんがローカルパワーエンジンを立ち上げる前は、営業支援ツールを提供する全く別の会社を経営していました。その頃、主な顧客群であった不動産業界のお客様と対峙する中で見えてきたのが、業界に対する世間のイメージとのギャップだったといいます。
曽根田不動産業界って、ちょっと怖いイメージがあるじゃないですか。確かにそういう印象を持たれることもあるんですが、中には地域と密着して、すごく誠実にやっている会社さんがあったんです。
そうした会社ほど、地域社会への貢献意欲が強かったといいます。
「この会社を支援して業績を上げてもらえば、働く人が増えて、地域も幸せになる」――誠実な地域密着企業を支援するというビジネスモデルの種は、ここで生まれました。
一方、編集の佐々木さんは、生まれも育ちも東京で、地方への深い関わりがあったわけではありませんでした。転機は、前職のWebメディア編集を経てフリーランスになったタイミングで訪れます。



北海道に移住して地域を盛り上げるプロジェクトの話や、IターンUターン向けのメディアの話をいただいて。そこから地方創生って何だろう、と調べ始めたのがきっかけですね。
特別な原体験があったわけではありません。けれど仕事の中で地域に触れるうち、興味は少しずつ大きくなっていきました。
「一発の花火」ではなく「暮らしの情報」を。――一般的な地方創生との決定的な違い


ローカルパワーエンジンが掲げる地方創生は、よくイメージされるものとは大きく異なります。
曽根田さんが事業を始める前、様々な地域活性化の事例を見て肌で感じたのは、ある「強い違和感」でした。



一言で言うと、国の補助金に依存したビジネスだということです。地域でイベントを開催する。それ自体は悪くないですが、結局は国や自治体の補助金を、大都市圏の広告代理店やコンサル会社が受けて実現している。地域で一つ、大きな花火を上げるようなものに見えたんです。
それで本当に地域が豊かになるのか。曽根田さんの目に映ったのは、観光客目線で一時的に賑わいを生むものの、継続していかない構造でした。
「住民の方が日頃から使うような地域メディアをやっていきたい」。その思いが、今のサービスの出発点になっています。
現場で記事を編集する佐々木さんも、この違いを日々実感しています。



一番は、観光目当ての情報じゃないということ。地域に住んでいる方に人気のスポットやお店、生活圏の中で行くような場所の情報がメインになっています。メジャーな観光地を載せていないわけではないですが、私たちが本当に届けたいのは、そこにある日常なんです。
「記事を見て来た」――地域で「価値」が循環した瞬間


事業の手触りを最もよく表すのが、二人がそれぞれ語った“循環”のエピソードです。
佐々木さんが手がける記事制作は、地域に住むライターが自身の足で店舗や施設に赴き、自ら取材を依頼し、許可を得て公開するという流れで進みます。



記事を公開した後、お店の方から『記事を見て来た』という声をいただくことがあるんです。私たちの書いた記事が、文字通りお店の売上に貢献できたと実感できる瞬間ですね。
経済的な効果だけではない、と佐々木さんは続けます。ある地域で取材を積み重ねた結果、別の取材で公共施設に許可を取ろうとした際、「ここのサイトの方なんですね」と、すんなり受け入れられたことがありました。



一つひとつの取材の積み重ねが、地域からの信頼につながっていく。そこからまた新しいコミュニケーションが生まれて、施設に通うようになったり、お店とライターさんの関係が続いていったりする。経済とはちょっと違う、コミュニティとしての循環を感じます。
曽根田さんが印象に残っているのは、埼玉のあるクライアントのエピソードです。記事化した飲食店やお菓子屋、パン屋に、クライアント自身が後から挨拶に出向き、つながりを持とうとしていたといいます。



お土産を記事で紹介したお店で買ってくれたり、地域のTikTokerに依頼して、記事で紹介したお店を実際に紹介してもらう、ということもされていました。地域に貢献したい、皆さんの集客を応援したいという気持ちが伝わって、そこからまた紹介をもらう。クライアントさんがそういう循環を生んでくれているのは、本当にありがたいことです。
一つの記事が強力なフックとなり、クライアント自身の活動の幅が広がっていきます。それもまた、地域価値が循環している証だといいます。
3年目にようやく届いた評価――地域企業と伴走する中での苦労とやりがい


地域企業に伴走するビジネスは、決して平坦な道ではありません。
「地域メディアを運営するメリットは分かっていても、費用対効果はどうなのか、と問われることが多い」と曽根田さんは話します。ある契約では、社長の決断で始めたものの、社内の理解は得られないまま1年目を迎えました。



社長が別の会社に移って、もともと懐疑的だったナンバーツーの方が社長になりました。それでもせっかく1年やったから、ということで2年目に。3年目になって、ようやくメディアを見た方からの問い合わせや、『このメディアやっている方ですか』という来店客の声が出てきて、商談も盛り上がるようになったんです。
長く懐疑的だった新社長や現場スタッフの方々からも、「こういうことが起きるんですね」という言葉をもらえたことが、何より嬉しかったといいます。
佐々木さんが向き合ってきたのは、取材現場での苦労です。エリアによっては取材の許可が全く取れず、公共施設ばかりが並ぶメディアになりかけたこともありました。



ある地域では、とりあえずネットに載りたくないという方がかなり多くて。取材できる場所がなくて、一時期は『これじゃ公園紹介サイトだな……』と頭を抱えてしまうほどでした(笑)。
そこで生まれたのが、取材スポットを選ぶ際のルールづくりです。試行錯誤は今も続いています。
許可が取れない状況を変えてきたのは、ライターの採用方針です。



うちが採用しているライターは、プロというより、その地域に住んでいる方、地域に馴染みのある方です。取材を基本的に断るお店でも、担当のライターさんがその地域に住んでいることで、別の知り合いを通して話が通ったり、『あそこの子だよ』という地域ならではのつながりで、許可が出たこともありました。
地域に根ざした人だからこそ開く扉があります。それを実感する出来事が、いくつも積み重なっているといいます。
これから実現したい未来――47都道府県のメディアと、リアルな出会いの場


これまで地域に向き合ってきた二人が見据えるのは、さらに先の景色です。
佐々木さんが思い描くのは、「自分が感じたワクワクを全国に届けたい」という、シンプルであり、スケールの大きな目標です。



47都道府県、すべての地域にサイトがあったらすごく嬉しいですね。自分自身も編集を通じていろんな地域の情報を知れて楽しいですし、いろんな地域に関われているなと感じられる。あの感覚を、もっと広げたいです。
曽根田さんが見据えるのは、Web発信の先にある“リアルな接点”です。



クライアントにスタンプラリーのような企画を提案して、企画運営をうちが担う。地域の方々に動きが出て、一緒にやっているという一体感が生まれる。そういう仕掛けをつくっていきたいと思っています。
加えて、もう一つ温めているのが「働く」を切り口にした新しい発信です。



地域に貢献しているのに、それを全然発信していない会社が結構あるんです。社員の方にインタビューして、こういう会社が地元にあるんだということを広く届けていく。住むメディアとは別に、働くメディアも広げていきたい。
営業と編集、それぞれの視点が交わるところ――職種を超えたシナジー


地域に深く根ざす事業を支えているのは、社内のコミュニケーションだといいます。
佐々木さんが普段、直接接することのないクライアント。営業がヒアリングした内容を、単なる条件ではなく、クライアントの意図やバックグラウンドまで含めて伝えてもらえたとき、編集側の動きは変わります。



ただ『クライアントがこう言っていたので』という伝言ゲームではなく、こういう意図があってこういう記事をお願いしたい、というところまで伝えてもらえると、こちらも期待以上のものを作ろうという前向きな気持ちになります。
曽根田さんが挙げるのは、クライアントとライターが対面する場のエピソードです。日中、主婦やママさんが多いライターとクライアントを引き合わせ、ランチをともにする機会を何度かつくってきました。



クライアントがどんな思いで事業をやっているかを聞くと、ライターさんの取材への熱の入り方が変わります。逆に、ライターさんが記事を書くまでの試行錯誤や苦労を知ることで、クライアントの側にも「感謝やリスペクト」が生まれる。お互いの思いを知るからこそ、形にしたいという気持ちが強くなるんです。
どんな仲間と挑戦したいか――求める人物像とメッセージ


最後に、ローカルパワーエンジンが求める人物像をお二人に伺いました。



当社が求めるのは、自分で考えて動ける人です。人数が少ないので、手取り足取り教えられる状況ではありません。クライアントのため、ライターさんのために何がいいかを、自分で考えて動ける方に来てほしい。指示待ちだと、正直厳しいと思います。
と曽根田さんは話します。
一方で佐々木さんが付け加えるのは、「素直さ」というもう一つの軸です。



自分で考えて動くのは大前提ですが、わからないことを完璧に一人で乗り越える必要はないと思っています。困ったときに素直に人に聞ける、周りを巻き込んでいける力。コミュニケーションが取れると言えばそれまでですが、そういう素直さを併せ持っている方だと、すごくありがたいですね。
そして、佐々木さんはこう続けます。



このインタビューをここまで読んでいるということは、何かしらが引っかかっているはずです。それくらいの興味があれば、もうエントリーしてほしいなと思います。
曽根田さんも、入りたいと思った人への門戸の広さを語ります。



良くも悪くも小さな組織なので、やりたいことはできるし、手を挙げれば何でもやらせてもらえる環境です。挑戦したい、やってみたいという好奇心があれば、ぜひ一度話を聞きにきてほしい。何かしらの場は、必ず提供できると思います。
最後に、佐々木さんからのひと言です。



ピンポイントでうちを目がけて、最後までこのインタビューを読んでいるなら、もう半分くらい入社しているようなものだと思います。あとはエントリーボタンを押すだけ。気軽に押していただいて、まずはざっくばらんにお話しましょう!


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