地域の持続的な活性化を目指すローカルパワーエンジン。
提供するサービス「地元紹介丸投げパック」では、各地のライターが住民ならではの目線で地域の魅力を紹介するメディアを運営しています。
サービスを利用するクライアント、そして数百人を超えるライターからもらった嬉しい反応を、代表の曽根田さん、編集を担当する田中さんに伺いました。
インタビュイー:ローカルパワーエンジン株式会社 代表取締役 曽根田太郎
田中(アシスタント職、20代女性)
取材・執筆協力:梅田愛生・ライター
はじめは理解されなかった地域情報メディア
—これまでにクライアントから寄せられた声のなかで、印象深いものを教えてください。

もう3~4年ぐらいメディアを運営させていただいている不動産屋さんが、国分寺にいるんです。
最初は社長さんの鶴のひと声で始めていただいたんですけど、実際我々とのやりとりを担当してくださるのは、ナンバーツーにあたる次長さん。
その方が、「今だから言えるけど、当時、『なんでメディアをやるんだろう?』と感じていた」と仰っていて。現場の営業さんからも、疑問の声が上がってたみたいなんです。



でも、1年ぐらいかな。続けていただいたらですね、お客さんから『あのサイト見てますよ』という声がちらほら聞こえるようになったそうなんです。
それで、「メディアをやる意味があると感じられた」という言葉をいただきました。
—現場の方に効果を認めてもらえるのは嬉しいですね。具体的には、どのような点でメリットを感じていただけたのでしょう?



お客さんの中に、地域メディアの方から来てくれた方がいたそうです。
メディアを運営していたのが不動産屋さんだと気付いて、家を買う予定がないにも関わらず、ホームページから会員登録してくださったことがあったと伺いました。



他にも、メディアのことを知ってくださっているお客さんは多いそうです。不動産屋さんって、どうしても怖そうな印象をお客さんから持たれてしまう。けれどメディアをやっていることで、「お客さんの心理的なハードルが下がって話が盛り上がりやすい」という声を、現場の方からいただいています。
ライターの成長が、編集者の喜び
—そのメディアの記事を書くライターさんたちと日々やり取りされているのが、編集の田中さんですね。ライターさんからの声で、印象に残っていることはありますか?



一番印象的だったのは、ライターさんが取材したお店に記事を見せに行ったら、店長さんがすごく気に入ってくれて、結果、お店からライターさんに直接お仕事の依頼があったというエピソードです。
わたしたちのサービスには「地域の方の雇用につなげたい」という意図もあるので、嬉しかったですね。「こんなことがあるんだ!」って。
「自分がお願いした仕事からつながりが生まれているんだな」と思えました。
―編集者としてやり甲斐を感じるエピソードですね!ふだんのやり取りの中で意識されていることはありますか?



記事をもらったら必ず、「これ美味しそうですね」や「この公園すてきですね」など、何か感想を言うようにしています。
やっぱり、わたしが最初の読者なので。「うるさいかな?」と思いつつ……(笑)。
でも、本当に(記事で紹介されているお店を)「美味しそう!」って思うので。それは結構、伝えてますね。
―田中さんの感想、きっとライターさんの励みにもなると思います。逆に、ライターさんからの反応で田中さんが嬉しいと感じるのはどんなものがありますか?



いつも、ライターさんが書いてくれた記事をこっちで修正して返す、というやり取りをしているんですけど。毎月それを続けていると、目に見えて修正が減っていく方がすごく多いんです。
編集としては、ライターさんがそうやって成長してくれるのが嬉しいですし、ありがたいなと思います。
地域情報メディアがきっかけで広がる人とのつながり
―編集者の元には、ライターさんを通して様々な地域の情報が集まってくると思います。田中さん自身は、そのことをどう受け止めていますか?



わたしが今担当しているメディアは、行ったことのないエリアが多いんですね。だから知らないお店ばかり記事になるので、見るたびに「素敵だな」「行ってみたいな」と思いますね。



また、事務所の近く(秋葉原周辺)のエリアも担当しているのですが、去年ライターさんに書いてもらった「おこし」のお店がすごく素敵で。
ちょうどわたしが会社のお歳暮を決める係だったので、そのお店の「おこし」を提案してみたらそれが通って。



せっかくなんで、ってね。



採用されてお店に買いに行ったら、記事のことで話が弾んだのですが、サービスでお歳暮をオフィスへ運んでいただいちゃいました。ありがたかったです。
―ひとつの記事が公開して終わりではなく、そこから次へ広がりがあるのは素敵ですね。



そういう面は、すごくあると思います。
これはまた別の話なんですけど。あるライターさんが、取材した居酒屋さんでほかの常連さんと仲良くなって、みんなでお花見に行ったそうなんですね。
そのお花見に、別の取材したお店で買ったものを持って行って。さらに、2次会でもうひとつ別の取材先に行ったらしくて、3記事ぶんのお店がどんどんつながっていく(笑)。
そんなふうに自分の知らないところで皆さんがつながっているのが、すごく嬉しかったです。
これからの挑戦、人が集まるきっかけづくり
―メディアを利用いただくクライアントと、そこで活躍するライターさん。それぞれの嬉しい反応をもっと増やしていくために、今後、どんなことができると思いますか?



あくまで今は、地域のメディアとして情報発信をしているんですけども、ゆくゆくは、地域で人が集まるようなきっかけも作りたいと思っています。
たとえば、メディアで掲載した飲食店の方たちに声をかけて、その地域でのグルメスタンプラリーの企画をクライアントさんに提案するとか。
リアルで人が動くようなことを、どんどんしていきたいですね。



わたしも、記事を通じてつながっている方たちで、何かイベントができたら嬉しいです。
ライターさんにも手伝ってもらったりして。
―楽しそう!では、変わらず大切にしたいのはどんな点でしょうか。



会社としては、我々が前に出てどうこうするより、仕組みを作りたいなと思っていて。
主役は地域の方々なので、皆さんの力を借りて、地元企業の事業を拡大していくことにこだわっていきたい。
従来、地域メディアってけっこうたくさんあるんですよね。ただ中を見てみると、新店や閉店の情報ばかりというところも多い。
地域を活性化するっていうのは、やっぱりそこに住んでいるひとに情報を届けて「この街っていいよな」と思ってもらうことが一番だと考えています。



(メディアを通じて)地域のお店をお手伝いするっていう意義もあるんですけど、それにプラスして、ライターさんから「地元にはあまり何もないと思ってたけど、歩き回ってみたら面白かった」という声も多くいただきます。
地元の方に魅力を再発見してもらって、地域に定着してもらえたら、と思います。
地域ではたらくひとと、住まうひとをつなぐローカルパワーエンジンの仕事。
その輪は、今日も各地で広がり続けています。